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いのちはみな尊い松永伍一 1982年 平和のための呼び掛けけにこたえて

1982年  当時の大学新入生に配られたピースナウヨリ

30年以上前 のもの。時代と人間世界を透視したもの、こんな詩人が100にん居れば時代は動くだろう。輝きは一層増す詩といえましょう。

いのちはみな尊い 松永伍一

こういう状況になったら、もっともプリミテイブなところから問い直すしかありません。「誰のい

のちもみな尊いのだ」という前提に立って、「それでも、なぜ、 いのちを抹殺しようとする核兵

器をつくるのだろうか」という問いを、まず人類の一員である自分に、それから他人にむけて

発することです。

核兵器はよその国の人間を殺すのに使うが、自分は安全であるはずだ、と考えている人が

いたら、それは大いなる誤りです。そんなのんきなことは言っておれません。

核の使用は結果的に「人類の共喰い」をやらせることにつながります。

そういう「人類の共喰い」を阻止するためには、「自分が殺されたくなければ、人も殺してはな

らない」という、子どもにも解る論理に立ち一戻ることでしょう。「核の抑止力」だの「東。西の

力の均衡」といった軍事力学をもてあそぶ者は、 一見きわめて科学的に見えますが、かれ

は「人は死んでも自分は死なない」という倣慢な立場にいて、「人が殺されるときは自分も巻

き込まれる」ということに気がついていないのです。私たちは近代百年のあいだに何度も戦

争をして、数えきれぬ生命を失いました。これからは核戦争になると予想されていますが、そ

の予想は人類破減という取り返しのつかぬ事態を含んでいます。だったら、それを人類の

英知によって喰いとめねばなりません。「いや、人類はそれほどバカじやない。戦争など起こ

らないよ」と言うならば、人殺し用の核兵器をはじめ、すべての武器の製造を中止し、生活を

圧迫する無駄な軍備を撤廃すべきでしょう。これこそ真理にもとづく、もっとも科学的な対

応です。

若い人びとが、こういうプリミテイブな考えに立って「いのちはみな尊い」と言いつづけてくれる

ことを望んでいます。

(まつなが。さいち/詩人)

繁栄は一炊の夢だった

『東海第二』廃炉を

 村上 達也さん  茨城県東海村長   朝日新聞

 実は東海村の日本原子力発電所第二原発も、東京電力福島第一原発で起きた「全電源喪失」の寸前でした。地盤の影響で外部電源がすべてダウン、非常用発電機でポンプを動かして原子炉を冷却しましたが、一時間後に押し寄せた津波があと70センチ高ければ、海水は防波堤を乗り越えて、すべての冷却機器が失われていたかもしれません。

 2週間後にその事実を知り、背筋が凍る思いをしました。東海第二の場合、20キロ圏内には75万人、30キロ圏内には100万人の人が住んでおり、県庁所在地の水戸市も含まれます。細野剛志原発相に「選択肢として東海第二の廃炉ということも考えるべきではないか」と問題提起したのは、こうした事情があったからです。

 そもそも世界有数の地震大国の日本に、54基もの原子炉があること事態が以上です。しかも、東海第二のように人口密集地に原発を立地している国は世界でもあまり例がありません。

 「原発が無くなったら住民の雇用をどうするのか」「村の財政をどう維持するのか」という議論も村内にはあります。しかし、原発マネーは麻薬と同じです。原子炉を1基誘致すると固定資産税の交付金など10年間で数百億円の金が入る。その金がなくなると、また「原子炉を誘致せよ」という話になる。尋常ではありません。

 東海村の人口約3万7千人の3分の1は、日本原子力緊急開発機構を中心とする13の原子力事業所と何らかのかかわりを持っています。また原子力関係からの財源は一般会計の3分の1に当たる約60億円にのぼり、まさに「原子力の村」です。

 しかし、今後の世界は「脱原発依存」が主流となるでしょう。いつまでも原発マネーに頼って入られない。日本最初の「原子の火」がともった東海村は原子力と55年の歴史を共有し、原子力が文化として定着しています。これを同地域作りに生かすかが重要です。

 現在、村では原子力に関する科学・技術や人材を総合的に集積する「原子力センター構想」を策定中です。「脱原発」の場合も、廃炉の放射性廃棄物の処理、原発事故後の環境修復など様々な技術や人材が必要になります。そのための基礎研究、人材育成を担う構想です。世界屈指の大頻度陽子加速器敷設もあり、海外からも多くの研究者や、学生が訪れ、欧米の科学研究都市に匹敵する条件がある。持続性の高い発展が期待できます。

 福島のような事故が起これば何もかも失ってしまう。原発による繁栄は一炊の夢に過ぎません。目を覚まして、持続可能な地域経済をつくるべきです。(聞き手・山口栄二)

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