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井上ひさしの死を悼む

井上ひさしさんの死を知った時のショック

実に多くの著名な方のショックぶりをマスコミは伝えていますが、名もない多くの庶民の悲しみも大きいと思います。私もそのひとりで

す。たまたま3年違いですが高校が同じで同じサークルだったことのよしみでーー(というよりもみんなのきてほしいという熱意によって

きてくれたのですが)ーー3回ほど千葉にきていただきました。そのたびに前後に喫茶店などで雑談する機会があり時には3時間も話

す機会恵まれました。彼は相手にきづまりをまったく感じさせないひとでした。

作家のノーベル文学賞の大江健三朗氏はその著「大江健三郎  作家 自身をかたる」(新潮社)のなかで質問に答える

で『誰よりも敬愛している同時代の作家は井上ひさしさんである』とのべそのわけをかたっていますが 「彼は天才であって、時代

の知性」とする一方 「相手をきづまりにしない友人だから』と記していました。

おそらく誰をも友人にする自然な暖かさを持っているからでしょうか。5年前の9月19日記念講演のアトJR四街道の駅の喫茶店で

んだとき  コーヒー代金は私の分を含めて自分で払いうなど  立ち居振る舞いがごく自然なのです。講演が始まる前の時間

ホール後尾の席に座っていた時まじめそうな青年がよってきて色紙をさし出し書いてもらうことになりました。何をかくのか見て私も紙

切れにメモしておきました。

             難しいことはやさしく

             やさしいことを深く

              深いことを愉快に

               愉快なことをまじめに

いま色紙書いていた情景が鮮やかに浮かんできます。前列には教育長が座っていました。もう席は満杯でした。

人生は彼が作ったこの座右の銘によってふかめていったのではないか。大江健三朗氏が1番関心のある社会

題はとの問いに『憲法を守りうるかどうか』とこたえていますが井上ひさしもおなじだったといえましょう。

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最後にお目にかかったのは昨年の8月  原爆被爆の千葉ピースフェスティバルの会場でした。

もう少し、10年20年 日本の曙光が見えるまでいきてほしかった。惜しい人を亡くしてしまった。

「どうしても米」という氏の著作の題名をもじって「どうしてもきて生きかえって」と叫びたい気持ちです

氏は  世界と人間に対する認識は並みではなかったことを各界からの悼む声でも示されています。

舞台、小説、映画など幅広い、さまざまな文化関係者から追悼の声が寄せられているので拾って紹介します。  

作家の五木寛之さんの話 

文学とエンターテインメント、小説と演劇、批評と行動、すべての点において卓越した才能を発揮し、私たち同世代の作家に大きな刺激をあたえ続けてくるとともに、平和と憲法を守る戦後民主主義の希望の星でもありました  

劇作家・演出家の野田秀樹さんの話

 最も尊敬する、お一人でした。井上さんが先に行っているから、あそこまで頑張ろう、と思えた。最も尊敬するお一人でした。私にとって父のような存在でした。いつか「ライバルです」って、言ってみたかった。

 劇作家の三谷幸喜さんの話

 喜劇も人形劇も一人芝居も必ず目の前に井上さんがいました。いつも「この素材を井上さんならどう書かないか」を考えます。井上作品のあの深みと重み。同じ方向に行っても勝てるわけはないですから。

 演出家・栗山民也さんの話

 巨大な世界の認識者だった。作品すべてが、豊かな笑いと共に、世界と人間に対する警告を発する書だと私は受けとっている。     

俳優、小沢昭一さんの話  

井上さんの小説をもとにした一人芝居「唐来参和(とうらいさんな)」の俳優、小沢昭一さんの話 井上さんの芝居だけを一生やると決めたこともあった。悲壮感を前面に出す新劇の伝統を守りながら、面白おかしい芝居を書く。その姿勢にほれ込んだんです。今は、やりきったという思いです。

作家の宮部みゆきさんの話 直木賞で落選するたびに(選考委員の)井上さんの選評に励まされてきました。自分が委員になってからも、委員の中に井上さんがいたから安心でした。まだまだ私は子供でいたかったのに、寂しいです

こまつ座社長についた3女の麻矢は「一緒に仕事をするようになり、親子関係を超越して、作品に対する誠実さや作家魂に改めて頭が下がる思いがする。井上作品を守り、後世に残すべく、一生身をささげたい」と話している。

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